第3章 雄英体育祭
『なんか、嫌なことあったの?』
「・・・はぁ?」
あからさまに不機嫌な顔をする勝己。いや、嫌な事って言葉しか出てこなかったんだよ!そんな顔しないで!!
『なんて、いうか、いつもの勝己じゃないから』
「・・・。」
『なんて言うか、前はもっと強引に、こう・・』
「お前が警戒してるからだろうが」
『へ?!私?!』
なに、そんな、勝己って人が警戒してるとか分かるの?!
「お前が傷つくことはしねえ。だから最近帰ってんだろうが」
勝己からまっすぐ向けられた視線に、気が付いたことがある。
私、勘違いしてた。
毎日、授業が疲れたからいつも直ぐにバイバイしてるんだと思ってた。
警戒してた私の事はとっくに気付いていて
私のことを考えて、直ぐに帰ってたって事か。
何それ、すごく嬉しいというか、気恥ずかしいというか
優しいじゃん。
『ま、さかそんなこと考えてくれてるとか、思わなかった。』
「それしかねえだろが。んじゃな」
また前を向いて歩きだろうとした勝己を『ねぇ!』と引き留める。
『今日は、よっていかない?晩ご飯は昨日の余り物だけど』
「・・・いいのかよ」
『・・・ふふ。良いよ。』
そう言って笑うと勝己は歩いた道なりを帰ってくる。
私の家のドアを開け、二人で中に入る。あぁ、この感じ久しぶりな気がする。
ぎゅ
『・・・っへっ?!』
「お前がどこまでしたら傷つくとか知らねえ。嫌だったら言え。」
そういって、噛みつくようなキスをされた。
嫌がる隙なんてなかったし、そんな隙を作らせなかったんだろうな。なんて思ったけど、私も目をつむった。
「嫌じゃないっつー事で良いんだな?」
にやりと口元が緩んでいるのが分かる。あれ、やばい?