第13章 ソー&スティーブ(MCU/EG if)
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過去に戻って全てのインフィニティ・ストーンを回収するにあたり、どの時期のどの場所にタイムスリップすれば確実に石を入手できるのか探る為、邂逅した者の証言を集める作戦会議を開く事になった。とても重要な会議だ。これでどれだけ時間を使おうとも、限られた可能性の中で最善を尽くす為には避けられない会議だと言えるだろう。……なのに。
「ソー……?」
寝ている。一人だけバースデー席状態だったソーはサングラスを掛けたまま眠っている。微かに聞こえる鼾が全員にそれを理解させた。ローディに「死んでる」と言わしめたその姿は確かに言い得て妙だ。まるでソファと一体化しているかのように浅く腰掛けて背もたれに全幅の信頼と体重を預けている。片手にビール瓶を持ち、さながらその姿は……これ以上は止めておこう。
リアリティ・ストーンの所在を知るのはソーのみ。眠ってもらっては困る。仕方なしにソーを起こそうと歩き出すと、隣にいたロジャースが物凄い力で腕を掴んで引き止めてきた。意図せずたたらを踏んで立ち止まり慌てて振り仰ぐと、過去に見た事もないほど怒りを迸らせた瞳で俺を睨み付けている。これはもう殺意と敵意だ。なにがそこまでコイツを突き動かすのだろうか。例の『内戦』以来、まともに顔を合わせたのもここ最近の話だというのに、いまさら俺のお目付け役を買い直したとでもいうのだろうか。
「離せ」
「っ……レイン」
腕を思い切り振り抜いて奪い返すと、不愉快だという表情を隠しもせずに睨み上げてやる。するとロジャースは酷く傷付いた表情で動揺したけれど、«error»罪悪感など抱かなかった。サノスが人口の半分を消滅させてしまったこんな時だから仕方なくコイツと顔を合わせているに過ぎないというのに、昔のように気安くパーソナルスペースに入り込むだなんて許«error»ない。そんな俺達を見て「じいさんの痴話喧嘩は見るに堪えないからいい加減に«error»«error»」とトニーが揶揄うから余計に気分が悪くなった。君が言える立場«error»か。
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