第24章 SSS キャラ×男主(―/30日更新)
★FCトム・ラドロー&ポール・ディスカント
「Sir」
低い声に呼び止められて振り返ると、噂の中心にいつも座しているガンシューターだった。ポールを巻き込んだ張本人でもある。ここがポールの納棺式の場でなければ股の間にぶら下がってるものを蹴りあげてやるのに。
「なにか」
「この度はお悔やみを」
「……お前が言うな」
「ディスカントは勇敢な男でした、最期まで――」
「うるさい! お前が殺した癖に!」
案外、声が響いた。俺達の横を通り過ぎていくポールの同期たちは「殺害」の二文字に敏感に反応してラドローを睨み上げていく。真実はどうであれ、ポールはもう二度と帰ってこない。俺の大切な恋人はもう二度と。殴る為に持ち上げた拳をラドローの胸に力なく突き立てると、奴は警察帽の奥で瞳を揺らしながら甘んじた。
★Sシャーロック・ホームズ
「違う違う違うこれも違う!」
上階から下宿人の叫び声が聞こえてくる。まだ銃声や破壊音の類が聞こえないから今日の癇癪は規模の小さい方だ。大方、面白い『ゲーム』が無くて退屈しているだけだろう。関わり合いになりたくないし、さっさと外出してしまおう。
「レイン! 今日は君の欲しがる茶葉は店に並んでないぞ! 警察無線を傍受して暇を潰していたがメインストリートで大規模の事故だそうだ! 行き付けの店はそこから2ブロック先の路地を入った店、朝の九時と夕方の十六時のみ商品を陸路で入荷する! 未だ道は封鎖中、ルートが潰れていては入荷はまず無理! だから無駄な努力と時間を費やす前に教えておく! そんな暇があったら人を殺してまで僕に事件を持ってこい!」
★Sシャーロック・ホームズ
ベロベロに酔った二人が椅子に溶け入る様に座っている。飴玉みたいに形を成さない二人はへらへら笑いながらもまだ事件の話に夢中だ。帰宅は夜中だと言っていたのに、二時間ほどで帰ってきたと思ったら先程からずっとこんな調子。
シャーロックさんに水を渡して額の汗をハンカチで拭い、マフラーを解いてあげると、ぼんやりと俺を見つめていた彼は見たことも無いくらいの柔らかい笑顔で「ありがとぉ、レインくぅん」とだらしのない声を出した。
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