第24章 SSS キャラ×男主(―/30日更新)
★HEビリー・リー
ビリーはその恵まれた容姿から全ての男女を虜にする。巧みな話術や身のこなしで意のままに他者の意思や感情を操る能力には圧倒されてきた。俺はビリーに盲信してしまった兄貴に連れられてやってきた金魚の糞でしかなかったけれど、確かに彼が求心力の働く不思議な存在であることは骨身に染みて理解していた。
……――でも冷静になればすぐ分かる事だ、アレはただの詐欺師だと。信者を集めて思い通りに世界を動かす事に快感を得るクズ野郎だという事に。周りの大人も肝心の兄貴も、ビリーにまるで猜疑心を抱かない。根拠がない空っぽの言葉を挙げ連ねてそれらしい哲学めいた台詞を並べ立てる。結論を急がないその話しぶりは、傾倒を辞めた人間からしてみると結局のところ余興に過ぎなくて反吐が出そうだった。
(気持ち悪い)
兄貴に相談した。ビリー・リーの発言に意味はあるのかと。兄貴は騙されてるのではと。でも思っている以上に兄貴はビリーに毒されていて、あろうことか彼と俺を引き合わせてしまった。『弟はまだ理解力が乏しく、貴方の素晴らしさに気付けずにいる』と誇らしげに。
対して俺の絶望は計り知れない。ビリーに品定めするような視線を落とされたまま、気持ち悪い手付きで頬を撫でられて顎を擽られて肩を撫でられて腰を撫でられたあと、顔をぐっと近付けられて『なら……理解させてやるまでだ』と嗤われた。
★Sジョン・ワトソン
「ワトソンさん、クッキー要りませんか? ひとりじゃ食べきれない量になってしまって」
「やぁ、レインくん。是非頂くよ」
「英国式の焼き加減じゃないんですけど、生焼けじゃないので安心して召し上がって下さいね」
「凝り固まった食遍歴はない」
「そうなんですか、良かった」
「それに……き、君から貰ったものはなんでも嬉しい」
「喜んでもらえたならお裾分け冥利に尽きます」
「あ、いや、そういう意味じゃなくて……」
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