• テキストサイズ

黒愛2 【進撃の巨人】

第1章 1 (裏なし)


急に心が冷えきっていく。

なのにどこか熱い感情が込み上げてきて、鼻の奥がツンとする。

視界がぼやけていく。

「………………。
そうやって、都合いいときだけ…………
家族って言葉を使うの?

私を家族と思っていたなら…
10年前、どうして私を置いていったの?
10年間、どうして1度も会いに来なかったの?

会いに来たと思ったら…ただ私を利用して調査兵団を守るため?

………………やめてよ。」


「……………………。」

今どんな顔をしてるんだろう。

論破されて戸惑う顔だろうか。
それともうっとうしいと不快そうな顔だろうか。

涙をぬぐって私は顔を上げた。


「…………………。」


こいつの表情筋はどうなってるんだ。

全く表情が読めない。

無表情だった。
私だけが感情的になっていてバカみたいだ。

「…………なんか言ってよ。」


「………………別に構わねぇ。

協力しろ、とは強制しない。
ソフィアにとってはリスクだけだ。
だから強制はしねぇ。

そんなに俺が憎たらしいなら、協力を求めたことを憲兵の上官方にゲロしても構わねぇぞ。

そうしたら俺のクビなんてすぐに飛ばせる。

ただでさえ今の俺は崖っぷちだからな。

そこはソフィアに選択権がある。」


的外れな返事にイラつくと同時に、意外な言葉に思考が止まる。


「協力しなくてもいいって…
ここまでしゃべっておいて、私が憲兵団に密告してもいいって…
ちょっと正気なの?」


「あぁ。
俺は賭けたからな。」

「賭けたって…」

「ソフィアがこの話を引き受けると、信じたからだ。裏切られても、その結果を受け止める覚悟はある。」


/ 175ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp