第1章 1 (裏なし)
ギリッと唇を噛む。
もしかしたら、10年ぶりの再会をするのかもしれない。
こんな形で…。
「おい、ソフィア。」
唐突に名前を呼ばれて振り替える。
「ソフィア。お前に来客だ。待たせたらわりぃからはやくいけ。」
思考が止まる。
私に来客?
憲兵団に入って5年経つけど、そんなもの1回もなかったのに。
―――――誰だろ?
急いで入口まで走る。
そしてドアを開けた。
「お待たせしてすみません、ソフィアです。」
顔をあげる。
商人の服装をした人だ。
フードを深く被っていて顔がわからない。
「あの、どちら様です?」
その人は、ゆっくりとフードを外した。