第1章 1 (裏なし)
「あの…ソフィアさん。」
アルミンという少年がおずおずと私に話しかけてきた。
2人と同い年だろうか。
とても幼い印象を受ける。
でも、どこか目は鋭い。
あぁ、お兄ちゃんが、とても頭の回転が早い少年と言っていたっけ。
「なに?」
「どうして今回、この話を受けたんですか?
これはソフィアさんに、全く利益がないはずです。
なのに、どうして…」
「おっ、おい。
アルミン…その質問は失礼だろ。」
気づけば、ミカサという少女も怪訝そうに私を見ている。
やっぱり私はバカな提案を引き受けたと実感する。
「そうだね。
はたから見たら私はおかしいよね。
それでもこの話を受けたってことは…」
――――あのとき、お兄ちゃんはうなずいてくれたっけ。
あぁ、肝心なことを覚えていない。
内地にたまには帰ってくるって…
うなずいてくれたっけ?
「私には…私なりの利益があるってことだよ。」