第1章 1 (裏なし)
――――――翌日。
指定された場所に私は待機していた。
私に課せられた任務は、拍子抜けするものだった。
エレン・イェーガーという少年をただウォール・シーナからウォール・ローゼに逃がせばいいらしい。
終始、お兄ちゃんはエレン・イェーガーは可能性のかたまりだと言っていた。
そんな彼は、憲兵団や王政にとってうっとうしい存在だという。
エレン・イェーガーの影武者を他の104期生がやってる間に、私が彼をウォール・ローゼまで逃がす。
その間に調査兵団は何かで話をひっくり返すらしい。
これが今回の計画だ。
「何かって何よ…。」
今さら不安に駆られて、地面を蹴り飛ばす。
もう後戻りは出来ない。
その時、複数の足音が私に近づいてくるのを感じて振り返った。
深くフードを被った3人組。
そのうちの1人が、残りの2人に耳打ちをした。
―――――この子たちか?
私から声をかけたほうがいいだろうか。