第4章 〜再会〜
次の日、手首の処置をしてもらう為
家康の部屋に向かっていた雪姫は
廊下でばったり、三成にあった。
雪姫は、家康と再会してから
以前に比べたら、驚くほど
表情が豊かになっていた。
豊かになったと言ってもその変化は
まだまだ、乏しく、雪姫を
理解している者でなければ
読み取れないほど微かなものであった。
三成に会うと、微かな笑みを浮かべ
『昨日は、本当に申し訳ございませんでした
本の後始末を押し付けてしまいまして』
三成は、天使のような微笑みで
『お気になさらないで、下さい
それよりお怪我の具合は。如何ですか?』
『はい、お陰様で折れては
いませんでした。捻挫だそうです』
『そうですか、お大事になさって
下さいね、何かお役にたつことが・・』
と話途中で、雪姫がぐいっと
誰かに手を掴まれ、後ろに引っ張られる。
雪姫は、家康に背を向けていて
気づいてなかったが
家康が雪姫を迎えに来ていたのだ
『ちょっと、あんた、俺も
忙しいから、早くして』と
三成から引き離すように
歩き出す。
呆気に取られてる三成に
雪姫は、『三成様、また本のご相談に
乗って下さいね』と言って
家康の部屋へ向かった。
イライラ、マックスの家康は
ずっと無言で、雪姫の手首の処置をした。
『私、何か家康様のお気に障ること
してしまいましたか?』と家康の
顔を除き込む。
(//// かぁっ〜 ////)
顔を横にむけ目を合わせずに
『べ、別に、俺も暇じゃないから
い、急いで欲しかっただけ』
『そうですか、良かった
(いつもの家康様に戻ってて)』
『・・あと、本なら俺も相談乗れるけど』
『本当ですか!じゃ今度ぜひ!』と
少し弾んだ声で、答えると
嬉しそうに、微笑む雪姫。
(///だから、やめてくれ、その笑顔////)
と、言う最近の日々を思い出し
また顔が緩む家康。
『家康、また顔が緩んでんぞー』と
今度は政宗に言われる。
『べ、別に、緩んでませんよ!』と家康。
秀吉と政宗は、お互い目を合わせ
同じことを心で思う。
(こいつ、こんなに分かりやすかったっけ?
あぁ、そう言えば、同盟祝いの宴の日から
すんげぇ、分かりやすかったの忘れてたわ)
と納得したように、二人同時に頷いた。
その後、雪姫の手首が治るまで
家康の顔の緩みも直ることは
なかったのだった。