第15章 〜結実〜
そして、二ヶ月は、あっという間に過ぎ
今日は、祝言当日。
お互いに贈り合った白無垢に
身を包む、桜奈と栞。
美しい花嫁と可愛い花嫁になっていた。
着付けと化粧を手伝った千草は
ずっと泣きっぱなしだった。
『桜奈様も栞様も本当にお綺麗です。
千草は、嬉しゅうございます。』
と言うと、桜奈と栞は目で
合図し一緒に
『ありがとうございます、母上』と
言った。驚いた千草の涙腺は、崩壊した。
『人生で、こんなに嬉しい日は
ございません。姫様方のお側にお仕えでき
千草は本当に幸せ者にございます』
と、涙を流す千草につられ、二人は泣いた。
信長の婚礼との事で、各地から大勢の
大名達が参列した。信玄と謙信にも
招待状を送ったが、代理で幸村と
佐助が参列していた。
上座に紋付き袴で並んで座る
信長と家康は、やっとこの日が来たと
ホッとして、隣に座る花嫁を待っていた。
千草に手を引かれ先ずは栞が
姿を見せた。信長は栞の姿に
一瞬目を見張る。そしてニヤリとした。
集まった参列者がどよめく。
光秀は、『馬子にも衣装だな』と
呟いた。
『ほんとだ、見違えるな』と秀吉。
佐助は、(栞さん、綺麗だ。おめでとう)
と心で呟いた。
続いて、また千草に手を引かれ今度は
桜奈が姿を見せた。
桜奈の姿を見るなり一斉に
ため息が聞こえた。
家康も、桜奈を見るなり
目を見開きら目元を赤くし
一瞬すら見逃したくないと言わんばかりに
凝視していた。
『もう少し早く、間者の素質に
気づいておれば・・面白い物が
見れただろうな』とフッと笑う光秀。
『光秀、まだ言ってんのかよ
諦めろ、もう俺たちには手は
出せんねーんだからよ』と政宗。
(うわぁ、すげぇ、今日はまた
一段と綺麗だな。まぁ、人のもんだがよ)
と幸村は眩しいものを眺めるように
桜奈を見つめた。
三成だけは、『お二人とも本当に
お美しいです』と微笑ましく二人を見つめた。
どよめきと、ため息の入り混じった中
祝言は始まった。