第15章 〜結実〜
盛大に始まった宴。
皆、大盛り上がり。
栞と桜奈は、皆を労いながら
お酌をして回った。
桜奈にお酌してもらった家臣達は
酔いが回るのが早い。
何故なら、少しでも長く酌をして
貰おうと、わんこ蕎麦でも食べる
かのように、一気に飲み干しては
また、酌を求め、お銚子が一本
あくまで飲み続けるからだ。
桜奈は、嫌な顔一つせずに
微笑んで酌をするので余計にそうなる。
そんな状況に眉間に深いシワを刻み
超絶、不機嫌な家康。
信長は、早々に栞を自分の側だけに
置き、自分だけに酌をさせていた。
『相変わらずの不機嫌っぷりだな』と
肩を揺らして笑う光秀。
『ほっといて下さいよ!』と家康。
『あーぁ、ありゃ、当分お前んとこには
戻れんな』と秀吉。
『はっー』と深いため息をつく家康。
『まぁ、あんな美人に酌してもらえる
なんて、滅多にないしな。しかも
あんな愛想良くなったら、そりゃ
長く眺めたいわ』と政宗。
『桜奈も桜奈だよ
あんなに、愛想をふりまいまて』と家康。
『にしても、家臣達を片っ端から
酔わせて潰すとはな。
家康、桜奈を俺に預けろ
間者として育てたい。
相当の手練れになるぞ』
と真顔で言う光秀。
『はぁっ?何言ってんですか!』と家康。
『桜奈様のくノ一姿もさぞかし
お美しいでしょうね』と三成。
『三成!その変な想像、今すぐやめろ!』
と家康。
桜奈が、家康の側にやっと
戻った時には、家臣達はほぼ酔い潰れた
あとだった。
『皆様、やはりお疲れだったのですね
今日は、一段と酔いが回るのが
早うございましたね』と言う桜奈に
皆が、桜奈の無自覚を
目の当たりにし、暫し唖然とした。
そんな中『そうですね。皆さんきっと
お疲れだったのでしょうね』同意し
微笑む三成。
桜奈の意外な一面を見た光秀は
『これは、驚いた。家康、やはり
俺に任せろ』とかなり本気だった。
『絶対、無理』と
本気で嫌そうな顔をする。
『なんのお話ですか?』と
桜奈は、光秀に酌をしながら
聞いた。
『いや、お前を間者にしたいから
家康に、お前を貸せと交渉してた
ところだ』
『うふふ、光秀様は、相変わらずご冗談が
お好きですね』と静かに微笑む桜奈。