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《イケメン戦国》初恋〜運命の赤い糸〜

第14章 〜運命の赤い糸〜


しかし、家康は握り締めた拳を
ふっと緩めた。
(この憎しみの連鎖は、誰かが
断ち切らないとならない。桜奈は
愛するものを失ったことを悲しいとは
言ったが、これまで一度たりとも
今川を憎いとは言わなかった。
俺以上に辛い思いをした桜奈が
とっくに今川を許している。それなのに
俺が憎しみに囚われたままでは、
この先、きっと桜奈を悲しませる
そんな自分になりたくない!)そう思った。

『信長様、こいつらから刀だけ
取り上げて、野に放っていいですか?』

『貴様に任せたと言ったはず
好きにせい。』

『ありがとうございます』と深々と
一礼すると、今川の残党も野に放った。

そんな家康を見つめ信長は
(鷹山よ、貴様の先見の明には
叶わぬな。確かに、貴様の娘に
支えられて、わしの役に立つ男に
成長したぞ)と語りかけた。

全てが片付いた。
信長の采配に、新ためて
手強さを感じた信玄と謙信は
無駄なぶつかり合いは、また
顕如のような輩を生み出すだけと
理解し、休戦のまま小康状態を
維持する事に同意し、それぞれの
城へ戻っていった。

織田軍も桜奈と栞の待つ
安土城へと帰還した。

桜奈と栞は、秀吉と共に今か今と
愛する者の帰還を待ちわびていた。

こちらに向かう行軍の中に
それぞれの愛しい人を見つけ
二人は、手を取り合って喜んだ。

信長が馬から降りると
栞は信長は信長の元に駆け寄り
涙を流し『お帰りなさい信長様』と
微笑んだ。
信長は、『うむ』と言って栞の頭を撫でた。

秀吉も『信長様、ご無事のお戻り
安堵しました。皆も無事で何より』

桜奈も『此度の勝ち戦、心より
お祝い申し上げます。皆様のご無事での
お戻りに安堵し、嬉しく存じます。』
と桜奈は深々と一礼した。

それから家康の元に行き
『ご無事でお戻り下さって
本当に安堵いたしました』と
今にも泣きそうな顔で微笑んだ。

『うん、ただいま』と家康も微笑んだ。

『皆の者、此度は大義であった
これから、戦勝の宴を開く
存分に飲むがよい!』

そう言うと家臣達から、『おーっ!』と
歓声があがった。

それから間も無くして宴は開かれた。

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