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《イケメン戦国》初恋〜運命の赤い糸〜

第13章 〜君とでなければ〜


連れ去られた桜奈は
とある部屋に連れてこられていた。

やっと意識を取り戻した桜奈は
後ろ手を縛られて、身動きが取れなかった。

『やっと目覚めたか、信長の女』
凍りつくような眼差しで、桜奈を
見下ろす男。

『あなたは、誰なの?顕如の手先?』

冷たい視線の男は、ピクッと眉を
動かし、『あの生臭坊主と一緒に
されるとは、心外だ。
俺の名は、上杉謙信。お前も
名くらい聞いたことは、あるであろう?』

そう言うと、怪しく光る刀を桜奈
向け、桜奈の髪に付いていた
簪を取り上げ、髪を一房削いだ。

『何をなさいます!その簪を返して!!』
そう言って、謙信をキッと睨んだ。

『これを、敵陣に放り込んでやれ』
そう指示し、家臣に簪と髪を渡した。

『さて、余興は、まだ始まったばかり
どう、楽しませて貰おうか。
お前は、信長を釣る為の餌だからな。』
そう言って、凍てつく視線を桜奈に
向け、桜奈の髪を掬いあげた。

(なんて、冷たく悲しい目をしている
人なの、かつての私のようだわ)
桜奈は、憐れむような眼差しを
向けた。

それに気づいた謙信は、
『お前、何故そのような目で俺を見る』
と、苛立った。

『いいえ、特に意味などございません。
ただ、私もかつて、貴方と同じ目をして
過ごしていたことがあると思った
までのこと。』

『何?!』

『心を閉ざし、なんぴとたりとも
寄せ付けぬうちに、心は、凍てつき
生きているのか、死んでいるのかさえ
分からない。そう言う目をされていますよ
私も同じ場所に居たことがございますゆえ
よくわかります。』

『煩い、黙れ女!お前に何が分かる』

『いいえ。貴方の心が凍てついて
いること以外は、何も分かりません。
軍神と名を馳せるようなお方が
このような、姑息なことをするなど
分かりたくもありません。』
桜奈は、見透かすような目で
視線一つ動かさず、謙信を睨んだ。

まるで、こんな手を使ってまで
勝ちたいのか?武将の誇りは
ないのか、そう責められて
いるようにさえ感じた。
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