第10章 誇りと誓いをこの腕に
夜、クレインは帰ってこないリオを甲板で待っていた。
ベックマンからタトゥーを入れたいと店に行ったと聞いたおり、時間が経っている事からそのまま入れていると考えた。
(そういえばあいつもタトゥー入れていたな…)
ふと先代のシルバーも首筋と腹部に何かタトゥーを入れていた事を思い出す。
その時、リオにも入れないか聞いていたが痛そうと断っていたのだ。
(まさか自分から入れるとは…)
そんな事を考えているとリオが帰って来たのかタラップを上り、甲板に上がってきた。
タンクトップを着ていたリオの左腕には包帯が巻かれていた。
リオも甲板にクレインがいた事に気づき、クレインの元へ歩いて行く。
「タトゥーを入れたのか?」
「えぇ」
「どんなデザインにしたんだ?」
「それは落ち着くまで内緒。部屋に戻るね」
リオはそう言うとクレインの横を通り、船内へと向かっていく。
それから約1カ月。
タトゥーを入れた事で修業を中断していたリオ。
しかし今日、船医から戦闘を含めた動きを解禁となった。
タンクトップにジーンズに身を包んだ彼女は左腕に彫られたタトゥーを見る。
ローの肩に彫られたハートのタトゥーに似せたものにナズナの花、そして店主の計らいなのか小さなハートも彫られていた。
「……うん。満足」
ハートは彼を連想するもの。
ナズナは師匠への誓いの花。
この腕にハートの海賊団の誇りと師匠への誓いを刻んだ。
リオは甲板に向かって走り出す。
甲板に出るとシャンクスとクレインが話しているのを見つけ、向かっていく。
それに気づいた2人はリオに視線を移す。
「お、タトゥー落ち着いたみたいだな」
シャンクスは包帯もテープも何もついていない左腕を見てそう言う。
「……ハートにナズナか」
「うん。あ、今日から戦闘許可が出ました!よろしくお願いします!」
クレインに深々と頭を下げるリオ。
「……よし、じゃあ早速やるぞ」
「はい!」
リオはクレインに向かって構えた。