第9章 つなぎと彼女の決意
女ヶ島に着いたハートの海賊団。
ローはクルーから離れた場所に座り、電伝虫にリオの子電伝虫の番号を押す。
『ぷるぷるぷるぷる…ぷるぷるぷる、ガチャ』
『……もしもし』
「俺だ、今どこにいる」
電伝虫から聞こえたリオの声にローは問いかける。
『新世界入ったとこ…』
「……手紙は読んだ。お前の気持ちも分かった」
『うん…ごめんなさい』
リオに電話するまでの間、色々考えていた。
ロー自身はどんな彼女でも守ると決めていたが彼女は自分とこの海賊団を守る力をつけたいと願ってこの船を一度降りた。
本音を言えば連れ戻し、自分の側に置いておきたい。
だが、彼女を仲間にすると決めた船長として彼女の想いと覚悟を汲むことにした。
「謝るな。これからどうするんだ」
ローがそう話した時、リオの「あ」の言葉とゴソゴソと物音がする。
『トラファルガー・ロー、久しぶりだな』
「お前は…クレイン」
リオが先代の後に情報屋としての全てを教わったオルニス、クレイン。
『私がリオの修業をつける、この前の様な手荒な事はしない事は約束しよう。私が責任を持ってリオを強くしてお前の元に返す』
「……わかった。」
『やけに素直だな』
「なんとなくお前の所に行くと思ってたからな」
強くなると言った彼女が新世界で頼ることが出来るのはこの男しかいない。
個人的には任せたくないが、クレインは彼女の事情を知っている数少ない人物だ。
ローがそう言うとクレインはリオに子電伝虫を返したのかリオの声が聞こえる。
『もしもし?』
「あぁ」
『必ず強くなるから、強くなって帰ってきて…あのつなぎ着るから待ってて』
それは先日の自分が彼女に伝えた事の返答か。
ローはその言葉にフッと笑う。
「あぁ、早めに帰ってこい」
『ふふふ…アイアイキャプテン。じゃあね』
リオはそう言うと電伝虫の通話が切れる。
ローは立ち上がるとクルー達が待つ自分の船に戻っていった。