第9章 つなぎと彼女の決意
シャボンディ諸島での一件もあり、ハートの海賊団は新世界には入らず海中を航海していた。その中で知った火拳のエース処刑のニュース。
怪我をして療養をしていたリオもその新聞を見て知った。
「世界を揺るがす事件…白ひげは助けに行くんだろうな…」
師匠と共に行動している時に一度だけ会った事がある白ひげ海賊団。
情報の売買で数日船に乗ったが家族の様な温かい空間だったことを覚えている。
色々考えこんでいると自分が過ごしていた船長室にローが入ってくる。
ローはリオが座るソファーに座り、これからの事を話し始めた。
マリンフォードに向かい、戦争の行く末を見る。
そして戦争に参加している麦わらをこの船に乗せて逃がすこと。
傷ついている麦わらをこの船で治療する事。
「……じゃあこの船の行き先は…」
「海軍本部だ。あとお前にこれを渡しておく」
ローがそう言って手に持っていたものをリオに渡した。
それは黒いつなぎ。広げてみると胸元にハートの海賊団のジョリーロジャーがあった。
ハートの海賊団のみんなが着ているものの色違いのつなぎ。
「うちのクルーになれ。リオ」
「……」
「返事はいつでもいい。だがそれは前もって渡しておく」
ローはそれだけ言うと船長室から出ていった。
リオはそのつなぎを持っていき、船長室隣の物置へ入り、黒いつなぎを改めて見る。
「仲間か…」
着ていたパーカーを脱ぎ、Tシャツとショーパンになるとつなぎのファスナーを下ろし、つなぎに袖を通す。
銀色の髪の毛に黒いつなぎは映えた。
「結構似合うじゃん…私」
ふふふと笑うとその場にしゃがみ込む。
「師匠、私の考えてる事…貴方に言ったら怒りますか?」
ポツリと呟いた亡き師匠への問いかけ。勿論返ってくることはない。
結局は自分で決めないといけない事。
覚悟を、しなければいけない。
「……よし」
リオは立ち上がると着ていたつなぎを脱ぐ。
そしてつなぎをクローゼットの中にあるハンガーに掛け、しまうと扉を閉める。
「こんな私を許してね…」
それは誰への言葉なのか
リオはそう言うと物置を出ていった。