第8章 シルバークロウの弟子
ローは船に戻りベポと交代でリオの側にいた。
クレインの武装色の覇気による攻撃で数か所の殴打痕。
金属ナトリウムを使用した爆発については自然系の能力者であるリオは本来覇気を使用していなければ傷を与える事は出来ない。
しかし、あの攻撃の起爆に使用した右手は多数の傷があり出血まで見られた。
「ん…」
リオから声が漏れるとゆっくりと目が開かれる。
ローはそれに気づくとリオの顔を見る。
「リオ」
「ろぉ…?あれ…ここふね…」
麻酔からまだ覚めきっていないのか舌足らずな口調でそう尋ねる。
「そうだ。お前はクレインと戦って怪我をした」
「あ…そうだ…クレインは…?」
「もう帰った」
ローの言葉に少しホッとしたような表情を浮かべるリオ。
「あとクレインから伝言だ。ナズナの花言葉を思い出せ、だ」
「ナズナ…か…ロー、まだ眠たいからもう一回眠るね…」
「あぁ、今は休め」
リオが目を閉じるとローもそれを確認し、部屋から出ていく。
「私の全てをあなたに捧げます…」
リオが呟いたのはナズナの花言葉。
その声はリオ以外には聞こえなかった。