第6章 心が見せたもの
一方その頃、シャボンディ諸島。
黒い長髪の男が島を歩いていた。
「あいつはそろそろ来るか…」
男はそう呟き、目の前にある店のドアを開ける。
「いらっしゃい…あら」
店の中にいた女主人、シャッキーは男を見る。
「久しいな。あの人はいるか?」
「私ならここだ」
男は店の奥にいる白髪の男に近寄る。
「久しぶりだな。クレイン」
「あぁ、レイリーさん。何年振りか…」
男、クレインはレイリーと呼ぶ白髪の男の隣に座る。
「新世界のオルニスが珍しい、何かあったのか」
「……そろそろ可愛い弟子が来る頃かなと思ってね。まぁ向
こうは私を師匠と思っていないだろうが」
「人とあまり馴れ合わない君に弟子がいたのか?」
レイリーは少し驚いた表情でクレインにそう尋ね、その問いにクレインは笑う。
「死んだ昔馴染みが可愛がっていた弟子を引き受けただけ
だ」
そう言うクレインの前にシャッキーがグラスを置く。
「私の奢りよ。再会を祝して…ね」
「遠慮なくいただこう」
グラスに入ったウイスキーをクレインは一口飲む。
「その弟子は新しいオルニスか?」
「あぁ。おてんばな弟子さ…情報ではハートの海賊団とかいう超新星の船に乗っているらしい。海賊であればこの島に来るからな」
「お前さんの弟子、一目見てみたいな」
「銀色の髪に赤い目の女だ。もしあいつに会ったら伝えてくれ」
クレインはグラスの氷を指で一回わしし、グイッと飲む。
「鶴がこの島で羽を休めてる、とね」