第6章 心が見せたもの
エースに情報を売り終わったリオは再び町の中を歩く。
(売れたけど値段安いやつだったしなぁ…もう一組いれば売りたいなぁ…)
そう考えながら歩いていた時
「あらら、随分と可愛らしい女の子がいるじゃないの」
背後で聞こえた声に振り返る。
そこに立っていたのはローよりも遥かに高身長の男。
白いスーツに青いシャツ、額にはアイマスク。
その男の特徴を見たリオは瞬時にある人物の名を口にした。
「海軍本部…大将青キジ…」
「俺の名前、知ってるの?」
名乗る前から自身の名前を言うリオの顔を覗き込むように見る青キジ。
(ちっ…大将とか一番会いたくなかった…)
リオ自身は海賊ではないが、ロー達と行動を共にしている以上目の前にいる男に目をつけられるのは非常にまずい。
「私達を守ってくれる海軍の大将さんの顔位…覚えてますよ」
ニコリと微笑むながら青キジにそう言う。
「なるほどねぇ。お嬢さん今夜暇?」
何言ってんだこの人と思ったがそこはグッと堪える。
「ごめんなさい、先約がいるの」
リオの言葉にそうかいと少し残念そうに言う青キジ。
しかし、リオの顔を見続けていた彼はリオに尋ねた。
「ちょっとお嬢さん、今着けているサングラスを取ってもらえるかい?」
「……わかりました」
ここで抵抗すれば上陸しているロー達にも影響するかもしれない。
リオはそう考えるとサングラスを取り、真紅の瞳で青キジを見る。
青キジもサングラスが外されたリオの瞳を見る。
「……俺が知っている奴じゃなかった。ごめんね」
「い、いえ…」
リオはサングラスをするともういいですか?と尋ねる。
「あぁ。問題ない」
青キジの言葉を聞いてリオは平常心を保ちつつ歩いて行く。
(大丈夫…バレていない…)
「あぁアンタ、シルバークロウっていう銀髪に青い瞳の女知らねぇか?」
その特徴にリオの心の中で一人の人物が思い浮かぶ。
その人物は彼女の師匠である先代のシルバークロウ。
「知りませんねぇ。お力になれずすみません」
リオはそう言うとハートの海賊団が船を停めている港へ急いだ。