第5章 梟の名を持つオルニス
「まぁ…結局は作っちゃうのよね…」
食堂のキッチンでため息をつきながら料理をするリオ。
追加料金も考えたが自身の料理をおいしそうに食べてくれる彼らの顔を思い出し、それが一番の報酬と考え現在に至る。
「今日は…残り物ごはん~♪」
前の島で食材を調達したばかりであったが、調達前から残っていた食材も残っており、今日の夕食はその残り物を全て使った料理にすると決めていた。
てきぱきと食材を切り、料理を作っていく。
「……リオ」
「ん?どうしたのトラファルガー」
声がした方を見ると食堂の入り口にローが立っており、キッチンに向かって歩いてくる。
ローがキッチンの前に止まると口を開く。
「……ローだ」
「は?」
「トラファルガーと呼ぶな。俺の事は名前で呼べ」
「は、はぁ…別にいいけど…」
「それだけだ。邪魔したな」
ローはそう言うと踵を返して食堂から出て行った。
「マジでそれだけ…ふぅん、ロー…ねぇ…」
少し言い慣れないその呼び方に料理を作りながらローの名前を呼べるように繰り返し練習し始めた。
しばらくしてペンギンにそれを見られて必死に言い訳するリオとそれを陰で見ているローが他のクルーに発見された。