第3章 お支払いという名の航海
「……一回寝よう」
何も考えたくない私は頭を休ませようと船長室に向かう。
(あー…どうしよう…でも今は昼だし…遠慮なく使おう…)
船長室にあるベッドに飛び込み横になるとすぐに目を閉じる。
ふとベッドから香る消毒液の匂い。
(これ…トラファルガーの匂いかな…)
ベッドから香る僅かな消毒液の匂いを感じ、リオは眠りについた。
「……」
船長室に戻ったローはベッドに眠るリオを見ていた。
(朝はあんなに抵抗していたはずだが…)
ぐっすりと眠っているリオを見つつ先ほど聞こえた会話について考える。
“今のシルバークロウ”
“あいつ以外認めねぇ”
つまり、リオがシルバークロウを名乗る前に別のシルバークロウがいたことになる。
おそらく彼女が数度呟く師匠という人物。
考えれば考えるほど、情報が少ない。
ローは舌打ちするとベッド脇に腰を下ろし、リオの顔を見る。
「……お前は何者なんだ、リオ」
ローの言葉は眠っているリオには届かない
「お前は俺の…」
ローはそれ以上何も言わず、再び立ち上がると部屋から出て行った。