第25章 次の世代へ、そしていつまでも側に
「じゃあ行ってくる。身体に気を付けて」
優しく笑うこの子に私も行ってらっしゃいと告げ、この船の横につけていた小船に乗り込む。
「健闘を祈るわ。シルバークロウ」
私のその言葉にニッと笑うと船を繋いでいたロープを切り、あっという間に姿が見えなくなった。
「行ったか?」
私が進んでいった方向をずっと見ていたら彼が私の左隣に立つ。
「えぇ。見送らなくて良かったの?」
「あいつなら大丈夫だ」
そう言う彼の顔はどこか優しい表情を浮かべている。
ひとつなぎの大秘宝を探して航海していたロー達。
しかし数年前にハートの海賊団と同盟相手であった麦わら帽子の彼とその仲間たちがそれを見つけ出し、海賊王となったと聞いた。
その知らせを聞いた時、あの人なら成し遂げると思っていたと皆が口を揃えて言った。
今、彼らがどうしているかもわからない。
自分の情報網を駆使しても彼らの足跡を辿る事が出来ず、何年も彼らに会えていない。
ただ何も情報が無いという事はとりあえず元気にやっているのだろう。
彼以外のクルーもそれぞれの夢を持っていたからもしかしたらそれを叶えるために航海しているかもしれない。
自分はロー達と共に航海を続けてきた。
恋人で会った彼は夫となり、そして彼との間に子供も授かった。
その子供が私の後継者となり今旅立ったのだ。
我が子ながら非常に頭の回転が速く、世界一の情報屋である私と医者としても船長としても優秀な彼の遺伝子をしっかり受け継いだみたいだ。
見た目は彼そっくり。でも髪色は私譲りの銀色。