第24章 新しいオルニス候補者
「……美味い。でもリオのコーヒーが一番だな。濃さが微妙に違ぇ」
「ローの好みは微妙の匙加減が大事なのよ。海に出たら淹れてあげるから」
リオの言葉にローはフッと笑い、コーヒーを飲む。
(あ…)
それを見た少女は口元を緩めると残っていたカフェオレを飲み、立ち上がる。
「じゃあ私行きます!あ、お代…」
「私がご馳走するわ。頑張ってね」
「はい!では失礼します」
少女は頭を上げるとカフェを出て、エレベーターに乗り込む。
(あの一瞬だけど空気が穏やかになった…少し笑ってたし…ちょっとだけ可愛いって意味がわかったかも)
そう思いながら少女は自分が宿泊するフロアへと向かっていった。
2日後。
物資の調達を終え、自分達の荷物も全て積み込んだハートの海賊団は間もなく出航する時間になっていた。
滞在中、ワンピースなどの女性らしい服装をしていたリオも航海中によく着ている袖なしパーカーにタンクトップ、ショーパンにアンクルストラップがついているヒールが無いサンダルを身に着けていた。
「リオ、そろそろ出航だ。乗れ」
「ん」
リオはローの後ろをついていき船に乗り込む。
そのまま船内に入り、近くにいたペンギンに声をかける。
「出航したらすぐ潜水するの?」
「あぁ。海軍は近くにいないけど念の為潜水して島を離れたら一度浮上する予定」
「了解。じゃあ出航したらすぐに中入るね」
リオはそう言うと甲板に出て、港を見た。