第18章 銀色のカラスを待つ紅き雀
島を出航し3日。
ハートの海賊団は海上を航海しており、リオは甲板に座って新聞を読んでいた。
「今日も面白そうな記事無しか…」
残念そうにつぶやき、新聞を置くと甲板に横になる。
「平和だなぁ…」
目を閉じてポツリと呟いた時
「平和でも油断大敵だよ。シルバークロウ」
突然聞こえた声に目を開け、瞬時に起き上がると声がした方に手を伸ばす。
伸ばした手は空を切り、人の気配が移動した方を見る。
「……どちら様?」
そこにはリオよりも少し小柄な男が立っていた。
「初めましてだね、僕はスワロー」
「スワローって…確か革命軍専門の…」
「そうそう」
リオは警戒をしつつスワローを見る。
「貴方のお客様は海軍のはず…なんでここにいるの?」
スワローは革命軍専門のオルニス。
どこから手に入れるのか不明だが、革命軍の動きを知りたい海軍を客とし、情報を売っている情報屋で海賊相手にしているオルニスが多い中、海軍専門で同業者にしか情報を売らないラークと同じく珍しい存在である。
「これからお仕事なんだけど、ハートの海賊団が近くにいるって聞いたから2代目の顔を見ておこうと思ってね」
ニコニコ笑うスワロー。
とりあえず敵意は無いとわかり、リオも警戒を解くとスワローは甲板の鉄柵の上に座る。
「クレインから聞いてたけど先代とはまた違っていい味出てるね」
「それは褒めてるの?」
「まぁまぁ」
クスクス笑うスワローに顔をしかめるとスワローはハートの海賊団が進む方向を指さす。