第16章 恋慕と葛藤
シャインアイランドを離れた一行。
船は潜水し、海底を進みながら次の島を目指していた。
故郷に別れを告げ潜水まで泣いていたリオは船長室のベッドに横になって泣き腫らした目元を冷やしていた。
同じ部屋にある椅子にローが座り、机に向かっている。
(師匠が死んだあの日から…泣いた事なかったなぁ…)
リオは目元を冷やしながらぼんやりと考える。
師匠といる時は泣き虫でよく泣いて師匠を困らせていた覚えがある。
歳を重ねていく毎に泣く回数は減ったけど、師匠が死んだ時が決定打になったのかあの日から全く泣かなくなった。
クレインとの修業でどんなに殴られて痛い思いをしても泣かなかった。
でもローのあの時の言葉や故郷の別れであそこまで泣くとは思っていなかったので自分でも驚いている。
「落ち着いたか?」
ふと近くで聞こえたローの声。
リオの目元を覆っていたタオルが取られるとローの顔がリオの視界に入り、上から覗き込むような体勢に少し顔を赤らめる。
「どうした?」
「な、なんでもない…ご飯作ってくる…」
リオが起き上がろうとするがローがリオの肩を押し、ベッドに再び横にしローがリオを押し倒している体勢になる。
「今日の飯は頼んである。たまには休め」
「でも…」
言葉を紡ごうとするがローに言われた“もっと甘えろ”という言葉が頭をよぎる。
「……ん。わかった、でも本読みたいから退けて」
「わかった」
ローはリオから離れるとリオは起き上がり、本棚へと向かう。
少し悩んだ後、一冊の本を手に取るとソファーへ移動し座って本を読み始める。