第12章 生まれ故郷
「相変わらず汚い町だわ」
町の奥の方から高い女の声が聞こえる。
歩いてきたのは数人の護衛とピンクのドレスを着た金髪に青目の女。
「リリア王女…」
「格下が近づかないでいただけます?汚れるわ」
そう言いながら町を歩いていくリリア。
手には馬を調教する時に使用するムチが握られていた。
その時、2,3歳くらいの小さな子供がリリアに近づいてきた。
「おい!あぶねぇぞ!」
「汚い子供が…私に近づくな!」
リリアが子供に向かってムチを振り上げる。
ローが能力を使用する前にリオが瞬時に子供の前に移動し振り下ろされるムチを掴む。
「な…!」
「こんな小さな子供に…ひどい大人ね」
リオはムチから手を離すと後ろにいた子供を抱き上げ、子供を追いかけてきたのか慌てた様子で走ってきた母親に引き渡す。
「怪我はしてないわ、早く離れて」
「ありがとうございます…!」
母親が子供を連れて走っていく姿を見ていた時に後ろで何かが空を切る音が聞こえ、後ろを振り返る。
武装色硬化をした右腕に当たったのは先ほどのムチでリリアは赤い顔でリオを睨む。
「勝手な事して…ただで済むと思ってるの?!」
「随分強気…私がわからないの?」
リオは左手でフードを外し、サングラスも取る。
太陽に晒される銀色と赤。
「銀髪に赤い目…!なんて汚れた色なの…!!」
「そう?私は母親譲りのこの色が好きよ。あんな父親と同じじゃないこの色がね」
リオがそう言うとリリアはハッとした表情でリオから離れ、護衛の者がリリアを守るように囲う。
「貴方…まさか…!そんなわけないわ!あいつは死んだはず…!」
「一応私の立場もあるからこの島に対して何もしないつもりだったけど…あんな小さい子供に手を上げるような王国になり下がったなら話は別よ…とりあえずアンタのお父様にこう言いなさい。
…アンタらが殺したレイチェルが戻ってきたから今度は私がアンタら潰すってね」