第12章 生まれ故郷
「ここの島、なんて名前だろうね」
いつの間にか自分の隣に来ていたベポがリオにそう聞く。
「……輝く島、シャインアイランド」
「シャインアイランド?」
「えぇ。ここには無いけど…島にある砂浜が太陽に当たるとキラキラ輝くからそう名付けられたの」
「へぇ!さすがリオ!」
ベポがそう言いながらリオを見るとリオの顔は曇っていた。
「リオ?ここ来た事あるの?」
ベポがそう尋ねているとローもリオの元へ歩いてくる。
「リオ、何かあるなら言え。言わなきゃわからねぇ」
「……故郷よ」
リオは小さく呟き、ローを見る。
「このシャインアイランドは…私の生まれ故郷よ」
ハートの海賊団一行は船番を残し、シャインアイランド内を歩いていた。
先ほどここが生まれ故郷と話したリオを先頭に町の方へと歩いて行く。
リオは島に上陸してすぐにパーカーのフードとサングラスをかけ、何も言わず黙ったまま進んでいくので必然的にクルー全員が黙ってしまう。
「な、なぁ…生まれ故郷に帰って来たなら嬉しいものじゃねぇのか?」
「ばか!生まれ故郷がいい思い出ばかりじゃないのよ…?!」
ヒソヒソと話しをするクルーに気づき、リオは振り返る。
「…ごめんね。私6歳までここにいたの、それからは師匠と一緒だったから16年ぶりに帰って来たから故郷の実感湧かないの」
ニコリと笑いながらそう話すリオにロー以外が安堵した表情を浮かべる。
ローだけは麦わらの一味と宴をした日に聞いたあの言葉を思い出していた。
『クソみたいな親と妹から迫害されて捨てられて…師匠に拾われて今に至るの』
つまりリオを捨てた家族がここに住んでいるのだ。
今笑顔だが悲し気な雰囲気も出している彼女を捨てたという事にローは腸が煮えくり返るような感情を覚えていた。