第11章 『カラダが勝手に動くんだよ』…それ。(O)
「ネ、もう一軒!い~お店ができたのよぉ。ネッ!」
「えええ~…」
強引さに負けてとりあえず別な通りに引っ張られてきた。そこでたまたま目にとまった光景に、俺は固まった。
「大チャン?」
俺、見間違いじゃないと思う。今度は手じゃないけど。ていうか、顔も憶えてますよ。さすがに。
きらびやかな歓楽街には、客引きのオネーサンがたくさん。いちいちそんなの見てないけど、男の怒鳴り声がしたから、そっち見たら…いるんだもん!ダレって、遥ちゃん!!しかもそのモメ事のど真ん中!!!
「あら…。ヤダ、ちょっと…喧嘩?」
普段だったら、怖そうだし面倒だから、とっとと離れるんだけど…だって、遥ちゃんだもん、どう見ても。彼女を挟んで二人の男が対立してる感じ。…修羅場?あ、掴みかかった!わ、わっ、マジで喧嘩?
「あ~…あのコ。いつかこうなると思ってたのよネェ」
「ママ、知ってるの!?」
「え?ああ…。あの子、知り合いのママんとこのホステスやってんだけど…」
ホステス!?え…遥ちゃんがっ?嘘でしょ――ッ!?
しかもママの話じゃ、その店では禁止してる、お客さんとその…エッチなことまでするようなデートをしてて、ちょっと困ってるとか。お金が必要なのはわかるけど、それはルール違反らしくて。でも、それはなくても遥ちゃんはウケがいいから、お店としては黙認してるような状態らしい。
で、彼女のお客で執着するタイプ同士が最近揉めているらしくて…。
「その結果がきっとコレね」
「―――…」
俺はママの話についてけなくてボーゼンとしてた。だって。遥ちゃんが、ホステスって。全然そんな感じ…。しかも、そんな…客とエッチなこと、とか…。