第8章 どうも。アシスタント二宮です。(N)
二「いやいや。遥ちゃんが言いにくいことは無理に言わなくていいから。ね?俺ら別に探偵事務所から来たわけじゃないのよ。ただ、潤くんが言いたいのはさ…」
俺は二人の間に入って、やんわりと進行役を担った。
松「とりあえず、見間違いではないんでしょ?だってうちの大野、そういうの間違うことないから」
すっぱり言い切る潤くん。リーダーへの絶対的な信頼に、今更だけど感動すら覚えた。確かにね?俺だってヤツが嘘ついてるとは思ってないよ。でも、それと信憑性はまた別物かなって。なんせ根拠は『手』。薄いでしょ。いやいやいや…って少しくらい思うよ、普通。
でも、今回ばかりはリーダーの観察眼に脱帽ですわ。だって。
二「あの人ね、あなたのここ…たぶんコレとココだと思うけど。手の甲の傷の場所まで憶えてたんスよ。軽く変態でしょ?」
ホントに言ってた通りの場所に、言ってた通りの傷があるんだもん。遥ちゃんと会ってまず右手観察したよね。んで、マジかよ、って。あるねぇって、潤くんと目配せ。それもね、ホントによくよく注意深く見ないとわからないくらいの、うっすい傷跡なのよ。たぶんすごい小さい頃の。いや―…ホント、軽く変態。うちのリーダー(笑)。
松「話してくれない?もうさ、少なからず俺ら関わっちゃってるから。ちゃんと知っておきたいんだよね。じゃなきゃ対処しようにもできねえし」
二「あ、ざっくりでも構わないから。うん。遥ちゃんがセーフな範囲でね」
遥「…わかり、ました…」
今回、どうも黒いのはやはり彼女の方ですな。われわれの睨んだとおり。
でも
実際は黒いって言うより…重いって感じだったかな…。