第5章 退院
術後の信玄様は……
傷の治りも体力も、周りの皆がびっくりするほどのスピードで回復していき
あっ!と言う間に退院の日をを迎えることができた。
「お世話になりました」
「ありがとうございました」
深々と三人頭を下げて、病院を後にした。
そのまま私達が向かった先は……
病院からほど近いウィークリーマンションだった。
まだ数回の通院が必要で、ずっと病院にいても良かったんだけど
信玄様が
「ここで二人だけの生活をしてみたい」
と言ってくれたので、急遽借りることになった。
「今日は家でゆっくりしましょうね」
「あぁ、でも明日は行きたいところがあるんだ」
「はい。だけど、無理はしないで下さいね?」
「ははっ。明日は佐助にも着いて来てもらうから、大丈夫だ」
体力はかなり回復しているし、傷の治りも早いけど、退院してすぐに外をうろうろするのは、信玄様の身体の事を考えるとやはり不安だった。
それでも、あと現代にいる日数を考えると、あまりじっともしていられない。
「今日の晩御飯は私が作りますね。佐助君も食べていってね」
「えっと……」
チラリと信玄様の顔をみる、佐助君。
「食ったら、さっさと帰ってくれよ?」
「わかりました。きょうこさん、よろしくお願いするよ」
二人でニッコリと微笑みあってる……
「あの……あんまり期待しないでね?」
「きょうこの手料理かー楽しみだなー」
「そうですね」
……聞いてないし。
まぁ、とりあえず……
私は二人を部屋に残して、買い物に出かけた。