第16章 綱渡り
やがて一日の終わりを告げる鐘が聞こえてくるとリヴァイは班を解散させた。
各自、鋼鉄ワイヤーの上で落ちたり擦り傷を作るなど地味な練習にしては体に傷を負っていた。
(殆ど医務室行きだな)
と、リヴァイは見ると同時にエルヴィンが考え出した“クソな訓練”に舌打ちをした。
だが、まだ残っている者が1名いた。
「、戻るぞ。」
「兵長は先にお戻り下さい」
の今の姿が訓練兵団にいた頃の姿と重なる。たった1人で立体機動の練習をしていた。頭に血が上ってしまいフラフラになりながらも練習をしていたが昨日の事のように思い出される。何時までも練習をやめようとしないにリヴァイはとうとう実力行使をかけた
「・・・病み上がりのくせして、オレの言うことを聞けっ!」
リヴァイはの渡っている鋼鉄ワイヤーに思い切り蹴りを入れたのだ。
「うわぁっ!?」
はバランスを大きく崩し地面に落下する。
「いたたた・・・痛いじゃないですか」
「お前は言っても聞かないからだ」
も満身創痍だ、兵服には所々血が滲んでいた。
「お前も血だらけだ、さっさと医務室に行け。」
「…もう少しダメですか。」
「ダメだ、命令だ。」
そう言われるとも何も言えない。渋々と言うようには項垂れながら訓練場を後にする。するとリヴァイはが絶対に即座に従う方法を思いついた。
「お前、ケツでも怪我したか。」
「へ?そりゃ尻餅はつきましたが。」
「ケツにも血がついてるぞ。」
「は…?え?ウソっ」
の背中に嫌な汗が流れる。慌てて手で尻を触るがよく分からない。
「あはは…トゲでも刺したかなぁ…なーんて」
の目が泳ぐが内心は焦っていることは確実だ。するとはリヴァイを置いて走り去っていった。
「…あとで何言われるか分からねぇがな。医者とペトラには感謝しておくか。」