第1章 気まぐれ
は視界が反転し、ようやく普通の体制になれたためホッとしたようだった。
「あ…ありがとうございます…」
「少しこのままで休ませてやる。頭に血が上って真っ赤だぞ、お前」
は真っ赤な顔をしながらハァハァと肩で息をしている。
「お前、このままだと開拓地に戻されるぞ。」
「……覚悟はできています。」
「それは本当の覚悟か?それは。お前、珍しい東洋系だから開拓地に戻されたら人さらいに身売りされるぞ。」
「え…?」
「お前は変態共に躰をいいようにされる覚悟はあるのか?」
それを聞いたは絶句する。
「お前がまっとうに生きたければ訓練兵団に最後まで残ることだ。」
そう男は言い切るとは表情を曇らせる。
「私が…ここにいてもいいのでしょうか。」
「それはお前が決めることだ」
やがて、しばらくすると男はやれやれといったように
「と言ったか、ポイントを教えてやる。上半身はベルトでバランスを取るために緊張させるが下半身の力は抜け。頭の重心と腰の重心を一直線にしろ。」
やがてしばらくして男はそっとの体から手を離した。は懸命に男のアドバイスを反芻して体のバランスを取ろうとした・・・その時である。見事にはバランスを維持するとこに成功した。
「・・・できるじゃねーか」
そう言っての頭をグシャグシャとすると柔らかい微笑みを受けた
「あの・・・失礼ですがあなたのお名前は・・・」
「俺の名前はリヴァイだ」
それを聞いたは目を大きく見開いた。
「!リヴァイ兵長でいらっしゃいましたか。失礼致しました!私などの訓練にお付き合い下さいましてありがとうございます・・・」
は
「フン、ただの気まぐれだ。せいぜい死なねーように修了するんだな。」
そう言ってリヴァイは立ち去った。
その後、は地面に降りると呆然と男の後ろ姿を見送った。
「あれが人類最強といわれる調査兵団のリヴァイ兵長…」
訓練兵団でもリヴァイの名は知られているが、本人を見たのは恐らく105期生ではだけだろう。