第8章 学力検査
夕食後、すぐには団長室に呼ばれた。
エルヴィンが自らの座学を引き受けたのである。
だが、この日はの知力を測る一種のテストのようなものだった。
はヘアをノックし入出を許可されると、そこにはエルヴィン一人が執務机で大量の書類に追われていた。
「来たか、。待っていた。」
は敬礼をし入室するとエルヴィンは執務机の目の前に置かれた机と椅子にを座らせた。
「急で済まないが、君にはいくつかのテストを受けてもらいたい。普段訓練所でやっているようなものだよ。」
そういうとエルヴィンは5枚の紙を手渡しに解くように指示した。
(げっ…難しい…)
に手渡された紙には戦闘に必要な幾つもの知識や計算を含むもの全てが網羅されたものだった。は渡された鉛筆と消しゴムを駆使して問題を解いていく。
それをエルヴィンはニッコリと微笑みながら眺めていた。
(リヴァイが気に入るのも無理はないな。ひたむきに努力し素直に命令に従う。東洋の人種が持つと言われる物事に対する忍耐強さは兵士には必須だ。かと思えば可愛らしい一面もある。)
やがて、問題を開始してから1時間が経とうとした時である。今まで順調に問題を解き進めていたは一つの難問に直面する。どうしても最後の1問だけが解けない、もとい聞いた事もない作戦陣形だった。
(長距離索敵陣形ってなに?)
懸命に今まで習ってきたことをどれだけ参照しても答えは出てこない。
はついに1問だけに白旗を揚げることにした。
「、終わったかな?」
「はい、でもどうしても最後が分かりませんでした。」
「そうか、分からないことを分からないと言えることはとても良いことだ。
・・・最後はわざと解けない問題を置いたのだよ、。」エルヴィンはの解答を満足げに見て頷く。
「さすが訓練兵団始まって以来トップというのは嘘ではないな。素晴らしい出来だ。」
そう手放しで誉められるのに慣れていないは赤くなって俯いている。