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【Harry Potter】 Missing Heart

第29章 秘密の薬


秘密の薬






スネイプはこの日、自室の机の前に座りぼんやりとしていた。に対するどうしようもない懊悩に悩まされていた。



(がほしい)



という強烈な欲望。そのためいつもであれば手につくはずの論文が全くと手につかない。

だが、しばらくして空白の羊皮紙には魔法薬のレシピとも思えるものがポツリポツリと書かれ始める。

だが、その魔法薬は実はこの魔法界にも存在していない。作られたこともないのだ。

やがて彼は机から立ち上がり小鉢ほどの小さい調合鍋を取り出し数種類の薬草を無造作に刻むと鍋に放り投げた。

そして出来上がった透明な液体を軟膏の基材に混ぜ合わせると見た目は柔らかい白色の軟膏のようなものに見える。

彼は出来上がった軟膏を手の平に塗ると、いきなり小さなナイフで軟膏を塗ったところにひとすじの切り傷をつけた。

ナイフで切られた場所は赤い血が流れたが痛みはない。だが、触れている感触はある。
やがてスネイプは切った傷を魔法薬でさっと治した。



「これならば苦痛もないだろう」



彼はこの薬をいつ使うかは定かではなかった。使わないかも知れないし使うかも知れない。

そう、この魔法薬はスネイプがに対して考えた特別なものだった。
スネイプが作った薬とは処女のが初めての行為でも痛くないようにと作った軟膏だった。

彼は小さな軟膏容器にしまうと杖を一振して違う場所に移した。

魔法薬学教授であるスネイプであれば、俗に言う媚薬といったレイプドラッグを作ることも造作ではないが、彼にはそのような邪薬を使ってまでを手に入れたいとは思わない。



(そんなことするぐらいならば、売春婦でも十分だ。)



と、捌けている。もちろんだが彼とて”男”であり、時として女を買ったこともある。

かくしてスネイプは軟膏を作り上げただけで、その日は考えることをやめてしまった。

ホグワーツの教師をして長いが、まさかよもや学生に心が惑わされる事があるとは思った事もなかった。



(自分はどうにかしている)



冷静な理性の自分と本能の欲である自分が対立をする。
彼にとってもこのような葛藤は今までに経験がなかった。

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