第4章 ~ Tie it forever ~【A×M】
始めはそんなつもりはなかった。
ただ、潤を庇ってこんなことになった翔が、不憫で仕方なかった。
だから、翔に代わって俺が彼を縛り付けた。
離れるなんて、許さない。
ずっと、翔の側にいなきゃダメだ。
潤は健気に、毎日病室に来た。
目を覚まさない恋人に、
毎日その日あったことを
嬉しそうに話す潤…
そんな毎日が、
俺を……
潤を…
壊していった。
きっと、俺たちは地獄に落ちる。
こんな関係、
許されないって、分かっていても、
兄を裏切っているという罪悪感は、
ふたりにとって、
寧ろ、蜜の味だった。
そして、今日も、
病室の翔の横で、
俺たちは唇を重ねる。
「あっ…雅紀…んふっ...」
「潤…好きだよ…潤…」
俺たちは夕暮れの病室で、
夢中になって、愛を確かめ合う。
だから、
翔の睫毛が、微かに震えたのに、
気付かなかったんだ……
そう。
もうすぐ、
彼が戻ってくることも……
END