第23章 ご城下らぷそでぃ【S×O】
【和也:遵従】
西の空が、ゆっくりと暮れ始めた。
上様から、御台様とふたりで話したから頼むと言われ、十分に準備をした。
離れたところに忍びを配し、おかしな輩が入り込まないようにした。
話の内容によっては、早々に上様からお呼びがあるのでは?
と思い、実は内心緊張していた。
御台様が、裏切りをお認めになられたら……
あのように大切になされている方に、裏切っていたと言われたら……
あのお方は、どうされるのだろうか?
私は上様の名に従うだけとはいえ、緊張しながらお二人の様子を見ていた。
離れているので、何を話されているのかは、全く分からないが。
少なくとも、上様が激昂して、御台様に斬りかかるようなことはなさそうだ。
……最も。
上様がそのようなお方でないのは、私が一番分かっているが。
………………
……………
……
待てど暮らせど、お二人が動く様子はなく、時間ばかりが過ぎていった。
「…どうしたものかな?」
「そうですねぇ…」
一緒に控えている知念も、首を傾げる。
もうしばらく待てば、上様からご指示があるはず。
それまで待とう…
それまで………
………………………
………………
……
もう、暗くなってしまう。
暗くなれば、どこかから怪しい者が近づいても分からない……
さて。
どうしたものか……
待って、
待って、
待ちに待って、
勇気をもって声をかけた。