第23章 ご城下らぷそでぃ【S×O】
「さと……」
「上様は、私を疑ごうているのですか?」
「あ、いや…疑う、わけでは…」
思いもかけずに泣き出されてしまい、どうしたらいいのか分からなくなってしまう。
「…私と出会おうたことは運命だと……翔さまは…言ってくださいました…」
「あ、いや…それはそうなのだが…」
さとは顔を覆ってはらはらと泣く。
「…さと、分かったから…私が悪かった」
取り成すように肩を摩り、顔を覗き込むと、さとは、両手で顔を覆って泣き続ける。
震える肩を抱き寄せ、己を恨んだ。
なぜ………
どうして信じなかったのだろう
私は今まで、さとの何を見てきたのだろう
雅紀に言われたときに、
『そのようなことはあるはずない』
なぜそう強く否定しなかったのだ
さとは誠心誠意、曇りのない愛情でいつも私の側にいたではないか。
『…上様…』
『…翔さま…』
さとの菩薩のような笑顔が浮かんで……
消えた
さと……
さと……………
涙が溢れた
私は、取り返しのつかないことを、さとにしてしまったのだ
私だけを頼りに、
私のことを心から信じ、
私に人生の全てを捧げてくれていたのに…
………………
「…………しょう、さま…?」
顔を上げると、さとが泣き腫らした眼で私を見つめていた。
「…翔さま…どうか、どうか泣かないでくださいまし…」
「さと…私は…」
「私の存在が、上様を惑わし、そのようにお困りならば…どうか、私の首をはねてくださいまし」
「さと!」
驚く私に、さとは凛とした表情に変わって静かに話し始めた。