第1章 仰せのままに…【S×M】
「…潤…声、聴かせてよ…」
「…聞かせて…って、言われても、そんな…急には…んあぁっ…」
「そう♪お上手♡」
翔くんが笑った
口角を軽く引き上げただけで、
目の奥は笑ってない……
泣きそうな俺が映った大きな瞳に、燻り始めた赤い欲情の灯が見えた
不思議なんだけど、それを見た瞬間、上がり始めた心拍数が、ゆっくりと落ち着きを取り戻した気がした
この人に任せておけば、
きっと大丈夫……
言葉とは裏腹、態度とは真逆に…
翔くんは俺を、
優しく包んで溶かしてくれるだろう
「翔くん…きて…」
今度は目をすーっと細めて、俺を強く抱き締めながら、耳元で囁いた
「潤…愛してるよ…大事にするから…」
こういうところなんだろうな~
一見器用で、スマートそうに見えて、実はそうでもなくて…
そんなギャップもそうだけど、
心からの言葉を…
飾らない言葉を…
ちゃんと届けてくれる
照れずに、きちんと伝えてくれる
だから俺は…
俺たちは、この人を好きだって思って、
この人に委ねたいって…そう思ったんだ…
話しあった訳じゃないけど、きっとそう
まあ、俺の好きが、誰より一番だっていう自信はあるけどね
身体に僅かに残っていたものは全部脱ぎ捨て、
生まれたまんまの姿で肌を合わせる
ああああ、温っかい…
翔くんの肌、こんなだった…
デビューしたばっかりの頃は、ふざけて触れることはあっても、大人になってからはない…
着替えの時に背中に着いてた赤い痕に、
眩暈がするほど嫉妬した時もあった
姿の見えないその痕の先にいる人に、
燃えるような気持ちを抱いた
……あれは、誰だったんだろうな?
噂のあった、あの子か…
それとも……
でも今は……
これからも、翔くんは俺のものだから
誰にも渡さない…
まあ、並んであいつらがいることは、
無視できないけどね…