第23章 ご城下らぷそでぃ【S×O】
名残惜しい気持ちを押し込めてさとを胸から解き、肩をしっかりと抱いて歩き出した。
「…翔様」
白い牡丹の前での一部始終を見ていたであろう和也が、おずおずと声をかける。
和の存在に気付かなかったさとは、真っ赤になって袖で顔を覆った。
その風情がまた何と可愛らしい…
「大丈夫だ。和也は私の家臣だ」
「…はい…」
和也が用意した寝屋は、大師様から程近い場所にあった。
緊張からなのか、足元の覚束ないさとの背中をしっかりと支え歩くのだけで、可笑しいほどに中心が熱くなった。
……こんなことは初めてだった。
たったこれだけのことで、こんなにも気持ちが逸るなんて…
高い垣根に囲まれた家の式台を上がり、部屋の中に入って行くと、そこにはもう、布団が並べられており見目にも生々しい。
たじろぐように入口でさとの足は止まった。
しかし、もう引き返す余裕などなかった。
このまま、さとを我が腕の中に抱き寄せ、肌を重ねたい。
これほどに私の気持ちを昂らせた初めてのおなご…
「……」
「さと、そなたが欲しい…」
さとの腰を引き寄せると、自然と身体が密着する。
着物越しとはいえ、私の滾る中心を、さとは感じたかもしれない。
「……」
さとの小さき唇が何かを決心したかのようにきゅっと結ばれたその時、
襖の向こうに和が入る気配を感じた。
私達の睦み合いを監視するためだ。
その気配をさとも察したらしく、しきりに襖の方を気にしている様子だ。
「さと…実は私は…」
「将軍様…ですか?」