第19章 さよならのソナタ【A×O】
「智は、どうしたいの?」
「俺?…そうだなぁ〜…俺は、翔くんも好きだなって思ってるよ」
翔くんも?
も、って何だよ///
俺とその知らないやつを並べられるのかよ!
俺は頭に血が上った。
自分はどっちでもいいって!?
今の今まで、俺に突き上げられて鳴いていたその口が、別のやつの名前を紡ぐのを、俺は耐えられなかった…
「じゃあ、そいつと付き合えばいいよ!丁度良かった、終わりにしたかったんだ、こういうの!」
「…まー…」
「早く服着ろよ」
俺は智を置いて部屋を出た。
悔しくて、悲しくて、涙が止まらなかった。
こんなに好きなのに…
何で智、お前はそうじゃないんだよ///
俺達はごく普通の兄弟に戻った。
よそよそしいのは俺だけで、智は歯痒いほどに今まで通りだった。
兄のくせに、甘ったれたような話し方も。
それが、俺をイラつかせていた。