第18章 お気に召すまま【S×A】
すると、雅紀様が拗ねたように唇を尖らせて俺を睨んでいる。
「雅紀様。お加減はいかがですか…」
「…翔。ここに来て」
「……はい」
側に行くと、雅紀様が右手を差し出す。
応じるために手を出すと、パッと手首を掴まれて強く引かれたせいで、俺は主人の両脇に手を付いて倒れ込む。
顔が近い…
彼の眼差しは、明らかにいつものそれとは違う。
…どうしよう……
するとそこへ、ノックの音。
…助かった!
メイドが言いつけたものを持ってきたのだ。
それを受け取って部屋に戻ると、また二人になってしまう。
俺は静かに、雅紀様の側に傅いた。
「翔…今夜はずっとここにいて…」
「…ですが…」
「ダメだよ。これは命令だ。俺の側を離れないで…」
「承知しました…何か召し上がりますか?」
「じゃあ、メロンがいいな…」
俺はトレイごとベッドの脇に持って行った。
「あ~ん」
「…ハイ…どうぞ」
口の中にメロンを一切れ入れてやると、彼は幸せそうに目を細めた。
…なんてお可愛らしい…
「ねえ、翔…覚えてる?昔はよく一緒に寝たよね?お風呂に入ったり…」
「昔のことです……
でも、懐かしいですね…」
「こっそり屋根裏部屋に入り込んで寝ちゃってさ~♪」
「あれは、かなり叱られました…」
「毎日一緒にいたもんね!」
「そうでした…それより。
雅紀様、汗が…着替えましょう」