第17章 僕の小さな管理人【O×S】
俺には。
正確には俺たち二人には…
いやもっと厳密にいうと、
『大野智』には誰にも言えない秘密があった。
「翔くん、今日はホテルの接待に連れて行ってね」
「え~!?無理だよ…一応仕事だし」
「ダ~メ!この間、着いてかなかったら、女の子に勝手に告白されてたし…」
「勝手に…って、あれは次の日断ったじゃんか!」
「いいから!…はい、ここに来て!」
智くんの細い人差し指に、俺はしぶしぶ従う。
逆らうことなんかない…
近付いていくからと、智くんは
スーツの左ポケットに飛び込んだ。
「大人しくしててよ(´・ω・`)」
「分かってるって!だから胸のポッケは止めたんだろ~?」
…そう。
この10cmの智くんは、本物の分身。
何を隠そう、俺の恋人、
大野智は魔法使いなのだ。
普段のぼや〜んとした姿は世を忍ぶ仮の姿。
本当は嫉妬に狂って、
髪の毛から作り出した分身を、
俺に24時間体制で張り付かせてる、
と言う程の
超やきもち妬きの魔法使い…
そして、俺、櫻井翔の恋人なんだ。
売れっ子のイラストレーターの彼は、
普通の会社員の俺よりかなり忙しい。
で、自分の目の届かないところには、
ちいさな監視役を張り付かせてるんだ。