第15章 仔猫のしょう【A×N】
かずとしょうと俺…
二人と一匹の暮らしにも慣れた頃、
かずの友達が出張から帰って来た
たくさんの海外土産と引き換えに、
しょうかいなくなった
……しょうが眠っていたソファー
しょうが好きだったカシミアのマフラー
それら全ての物達が、
主を無くして色褪せて見えた
…淋しい……
しょう、今、どうしてるんだ?
しょうの使っていたご飯の器をぼんやり見ている俺を、かずがそっと背中から抱き締めた。
「まさき…これから仔猫、買いに行こうか🎵」
「えっ??仔猫?…買うっ、て…」
「だって今日は雅紀の誕生日でしょ?
プレゼントにさ、しょうより可愛い仔猫、買ってあげるよ」
「かず……」
元気のない俺に、かずがしょうの替りを買おうと言う
……だけど
しょうがいいんだ…
他の子じゃ、ダメなんだ…
だったら…
「かず…おいで…」
彼を向かい合わせに膝の上に座らせた
俺を覗き込む瞳がゆらゆらしてる
「俺にはかずがいるから、いい…」
「何だよぉ、俺って猫の替りかよ~」
そう笑うかずにふんわり口づけて、
「じゃ、言い直すよ…かずがいれば、何にもいらない…」
その言葉ににっこりするかずを、今度はお姫様抱っこした
「よし!今からかずのこと貰う!今からヤル!」
「えっ?ちょっと、待って、お風呂は?ご飯は~?」
「かずが一番先なの!!」
今年の誕生日は、
仔猫より可愛いかずを貰った♪
【 END 】