第9章 デアエタコト【N×M】
「今日2人に来て貰ったのはね…」
カルテを見ながら、
神妙な顔で翔くんは、話し始めた。
「あっ…ちょっと、
席を外してもらってもいい?」
彼は看護師を部屋から出した。
…そんなに、ヤバいんだ、俺…
でも、覚悟はできている。
カズが黙って俺の手を強く握った。
「潤の精密検査の結果なんだけど…」
『ゴクリッ…』
二人で同時に息を飲む。
「ひとつ、気になることがあって…」
翔くんの大きな目が、
カズをじっと見つめて、真顔で言った。
「内痔核の症状がみられた」
『ない…じ…かく?』
聞きなれないその言葉に、
キョトンとする俺とカズ。
「そっ!まあ、分かりやすく言えば
『痔』だね♪」
『じっ…痔~///』
仲良く揃う声に、櫻井Dr.は
この場には不似合いな
キラキラの笑顔を俺たちに向けた。
「まあ、今はまだ初期の段階で、症状も、
たまにしか現れないのかもしれないけどね!
放置しておくと、進んで、
悪くなることもあるし、
最悪、手術になることもあるんだよ~。」
『…………』
まだ、言葉が出ない俺たちに、
「要するに、夜の営みは、
無理にツッコんだりすんなってこと!!
ローションとかちゃんと使って、
潤に負担を掛けないように!
わかった?」
カズを見て言い放った翔くん。
全てを理解した俺とカズは、
翔くんの前で、仲良く真っ赤になった。
「奥に塗るタイプの軟膏を出しとくから、
カズに塗ってもらうといいよ♪」
…奥に塗る……って(*ノωノ)
俺たちさ、
今までの人生に
お互いの存在に感謝して、
泣く泣く、
俺がいなくなった時の話までして、
ここに来たんだよ///
すげ~覚悟して、今、ここにいるんだよ!
それをさ……痔って///