第7章 オレンジ・ペコ【A×O】
…大切にするよ、智。
君のこと。
ずっと欲しくて、
やっと手に入れた、宝物なんだもの。
子どもだった頃から、
君だけを見てたんだよ。
…それは、まだ言ってないけどね。
ふたりでこうして、
大切に時間を奏でて行く中で、
いつの日か、
話そう…
君に憧れていた、幼い俺のこと…
智少年に、恋い焦がれていた、
うぶだった、俺のこと…
『もう離さないよ…
…愛してるよ…智』
俺の下で、
君は小さく跳ねた。
部屋の灯りは、
外からの眩いイルミネーションと
小さなツリーの微かな光。
テーブルの上の…
四角い銀色の紅茶の缶が、
静かに
俺たちを見守っていた。
【End】