第108章 逃げ。
★★
征君さえいてくれればそれで良かった
記憶を思い出して
私にはやっぱり征君しか居ないんだって
ずっとそう思っていたかった
だってこんなにも大好きで
こんなにも大事に想ってた人だから
だけど・・・ダメみたい・・・・
私の頭から離れないの
征君だけじゃない
皆との思い出が
征君の記憶を失って
私は皆と出会った
真太郎、涼太、大輝、敦、カズ君、笠松さん、氷室さん、さっちゃん、順くん、俊くん、テツ君、大我・・・・
皆とのたくさんの思い出が
たくさんの想いが
たくさんたくさん残ってる
皆との出会いがあって
皆との思い出ができて
皆の笑顔があった
いつも傍で支えてくれた
助けてくれた
見守ってくれた
心配してくれた
怒ってくれた
泣いてくれた
笑ってくれた
なのに私は・・・・・
皆に何も返せていない
ただ逃げただけだ
私の答えは・・・・私にしかわからないのに・・・・
私は冷え切って上手く動かない体を無理に立ち上がらせ、歩き出した
私の答えを見つけるために・・・・・