第105章 傍に。
★★
私は小さく縮こまりながら、”征君”の事を思い出していた
征君とのたくさんの思い出・・・・
それを思い出すだけで私の心は温かくなる
だけど・・・征君の事を思い出すと必ず赤司君との事も思い出す
私が赤司君の事を受け入れない限り”赤司征十郎”という人間を救うことはできない
もう逃げたくない
でも体が震える
足がすくむ
赤司君に逆らえばどうなるかなんて、自分が一番わかってる
だから私は逃げた
赤司君からも征くんからも・・・・
「あれぇ、ちゃんじゃん!こんなとこで何してんの?」
「!?・・・あなた・・・」
突然声をかけられて驚いた
灰崎祥吾・・・
足音に全然気づかなかった・・・・
気づかないほど彼の事ばかり考えて・・・・
灰崎「一人なの?じゃあ、俺と今からデートしようぜ」
「結構です」
誰がこんな人と
灰崎「そんな硬いこと言わないでさァ!結構楽しいと思うぜ?」
「貴方と楽しめることなんてありませんから」
何でこんな所に!?
もう試合、終わったんだ・・・・
今は誰にも会いたくないのに
一人になりたいのに
早くどこかに行ってよ・・・
灰崎「いいじゃん、行こーぜ」
灰崎は私の腰に手を回して無理やり抱き寄せた
「やめてっ!!」
灰崎「何だよォ、リョータにやられてた時は嬉しそうだったじゃん!俺、リョータより色々うまくしてやるぜ?」
ヤダ・・・
力強くて回された手をほどく事ができない
顔が近づく
「ヤダ!!やめてっ!!」
灰崎「それともお前、リョータの事好きなの?」
「貴方と涼太を一緒にしないでっ!!」
灰崎「あ゛?」
「お願い離して・・・・」
灰崎「俺はアイツをぶっ潰してやるんだよ・・・だからまずはお前からァ」
彼はニヤリと笑って
私の顔を上に向けた