第110章 好敵手。
★★
私と敦は教室を出て屋上に向かった
「私ね、いつも一人で居たの。だから辛い事とか悲しいことがあるといつも屋上に逃げてた。中学の頃も高校に入ってからも」
紫原「友達とか居なさそうだもんねぇ~まぁ別に無理して作るもんでもないと思うけど」
「ありがと。敦はいつも思ったことをちゃんと言ってくれる。だからかな?敦には自分の事を正直に話せる気がする」
紫原「・・・別に聞いてあげてもいいけど」
「ありがとう・・・私ね、小学生の時も中学の時も友達いなかったんだ。いつも居てくれたのは征くんだけだった。でも記憶を失って・・・征くんの事を忘れたまま高校入ってテツ君や大我に出会った。バスケ部のマネージャーを始めて涼太や真太郎に大輝、それに敦にも出会えた。たくさんの仲間と大事な友達ができて凄く凄く幸せだった。皆の事が大好きで大切で、本当に夢のような日々だった」
紫原「今は違うの?」
「今はね・・・どうしたらいいのかわからないの」
紫原「何で?」
「私にとって征くんは凄く特別で誰よりも大切な人だったのに・・・今はわからない。大切なことに変わりはないのに・・・でも征くんと同じくらい皆の事が・・・・特別で大切なの。誰か一人だけをなんて・・・私には選ぶことができないよ・・・それでも・・・答えを見つけなきゃダメなのかな?」
誰か一人をなんて・・・
私にはそんな権利無いのに
私は光が差し込む屋上の扉を開けた
紫原「・・・・・・・それでも」
「?」
敦は歩む足を止めた