第3章 ふたご
「母さんに悪いことしちゃったね、リク」
ウミは、兄と全く同じなのに、どこか愛嬌のある顔をしょんぼりと曇らせた。
「仕方ないよ。俺らもいい加減限界だって、昨日決めたじゃん」
リクは地毛のまま黒髪のせいもあってか、弟よりどこか冷たい印象を与える。
双子は愛し合っていた。
この世の誰よりも、お互いを愛し合っていた。
世間一般では、自分たちは男同士で、それもきっちり血のつながった双子。
受け入れられないのは知っていたし、なにより、彼らが世界で二番目に愛してる母親を悲しませることだったから。
「でも僕、リクとえっちしたい」
「俺もだよ、ウミ」
彼らはいけないことだとわかっていた。
でも諦めきれなかった。
「どうすればいい?」
「どうすればいいかな」
「巻き込んでしまおう」
「巻き込む?」
「母さんも、僕たちと愛し合えばいいんだよ」