【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第8章 僕のヒーローアカデミア✿轟焦凍「魚釣り」
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翌日、はベッドから起き上がると、唾液や精液で髪も肌もカピカピになっており、干からびた頬をごしごしと拭う。
「………やり逃げ」
朝日はだいぶ高く上がっており、お腹もすいている。轟はもう帰ってしまっただろうと思い、外にある風呂場に行くと、湯に浸かっていた左右非対称の頭を見つける。
「あ……」
「使わせてもらってるぜ。精液ってのはかなり臭ぇのな」
轟は湯船から上がると体を拭きながら、の全裸をジッと見ている。
「アンタも入りに来たんじゃねェのか?」
「…うん。入るよ」
はまだ轟が居てくれたことに少し胸を熱くさせる。でも今日でお別れ。また明日から一人ぼっちになることが寂しくて、湯船に入って頭まで浸かる。
(このヘンな個性さえ発動しなけりゃ、街から追放なんてされないのにな……)
だだ漏れの個性を扱いきれず街から追放。収容されそうになって逃亡し、山小屋暮らしを始めた。ずっと一人、誰からも必要とされなくて、性にしがみ付いて、おかしくなっていった。
身体はさっぱりして風呂から上がると、轟が作ってくれた焦げた料理を食べ、荷物を背負っていよいよお別れだ。
「……じゃあ…また、さようなら」
「あ?なに言ってる…。アンタも来るんだよ」
「えっ?!で…でも……っ」
「アンタのことは知ってる。だからここに来た。俺が……の安定剤になってやる。一緒に来い」
「………っ、ひっぐぅぅ」
轟は慰めるように頭を撫でてくれる。「いいの?」って聞いたら「いいんだ」と認めてくれる。早く用意をしないと行ってしまうような気がして、ちゃんとした服を着て轟に手を引っ張られながら歩く。
「…ひっぐぅぅぅ…」
「おまえはいつまで泣いてんだ……」
「だってェェ…」
ずっと一人が寂しくて、除け者にされて、孤独だったのに温かい手に引っ張られる。
すると顔に影が重なって、冷たい目元が少しだけ笑う。
「いい顔だ」
涙は止まりかけたのにまた泣きそうになった。
Fin.